タイケン学園を巡る諸問題3

岩手県東松島市に保育園と私立学校設置へ
⇒2017年11月7日に河北新報が以下記事を配信
子育て支援環境充実へ 東松島市タイケン学園連携協定 来春、保育園を開設」
東日本大震災で被災した宮城県東松島市が、幼児教育やスポーツの人材育成に取り組む学校法人タイケン学園(東京)との連携を本格化させる。来年4月に市内に定員75人の保育園を開くのを手始めに、子どもを安心して生み育てられる環境づくりや福祉・健康の向上などで力を合わせる。
 市と学園は1日、相互の発展を目指して連携協定を結んだ。計画によると、保育園は人口が多い矢本地区に整備し、0〜5歳児を受け入れる。スタッフは保育士ら20人程度で、午後8時までの延長保育を行う見込み。学園グループの社会福祉法人タイケン福祉会(埼玉県)が運営する。
 共働き世帯の増加などで、市内の待機児童は42人に上る(10月1日現在)。渥美巌市長は「新たな保育園は待機児童解消や女性の社会進出につながる。スポーツで日本を元気にしたいという学園の考え方も心強い。協力を得て東松島を復興のモデル市にしたい」と意気込む。
 学園は1997年10月に法人認可を受けた。各地で保育園や高校、スポーツ大学、専門学校などを展開し、保育士や歯科衛生士、カヌー・陸上の五輪日本代表選手らを輩出してきた。学園の柴岡三千夫理事長は「東北での保育園運営は東松島が初めて。地域振興を第一に考え、包括的に連携していきたい」と話す。
⇒2018年4月21日に河北新報が以下記事を配信
「東京の学校法人が東松島に私立高計画 旧鳴瀬未来中など活用 進学、アスリート養成視野」
東松島市で私立の全日制高校を開校する計画が進んでいる。幼児教育やスポーツの人材育成に取り組む学校法人タイケン学園(東京)が、移転新築した鳴瀬未来中の旧校舎と2021年に移転する鳴瀬桜華小の現校舎をそれぞれ校舎と生徒寮に改修する。学校設置には宮城県の認可が必要で開校時期は未定。

 計画では、防衛大や防衛医科大の受験を目指す「進学コース」、五輪・パラリンピックに出場する選手を育成する「アスリート養成コース」、国際的に活躍できる人材を育てる「グローバルコース」を設ける。
 定員は各学年120人(1コース40人)。進学コースは航空自衛隊松島基地が立地する特色をアピールし、生徒を募集する方針。他の2コースも全国から生徒を受け入れ、留学生が学ぶ環境も整える。
 校舎として使う鳴瀬未来中の旧校舎は築45年の鉄筋コンクリート3階。昨年12月の移転後は空き校舎になっている。約300メートル離れた鳴瀬桜華小は築48年の鉄筋コンクリート3階で、21年1月の新校舎移転後に改修し、生徒寮にする。
 市は昨年11月、全国で大学や専門学校などを運営するタイケン学園と福祉や子育てに関する連携協定を締結した。今年1月には空き校舎を利活用する事業者を公募し、学園が私立高の設置を提案した。
 現在、学園が市との優先交渉権者となり、認可申請の準備を進めている。
 渥美巌市長は「新しい高校ができれば地域の活性化につながる。東日本大震災からの創造的復興を目指す被災地の姿として挑戦したい」と語る。
⇒2018年7月28日に河北新報が以下記事配信
「<東松島市>私立高の誘致へ推進チーム設置 市長が方針」
宮城県東松島市の渥美巌市長は27日、東京の学校法人タイケン学園が市内に計画する全日制の私立高に関し、8月1日付で庁内に誘致推進チームを発足させる方針を明らかにした。
 副市長2人と部長級、課長級各6人の計14人で構成。経済効果の調査や関係機関、団体などとの調整を行う。リーダーを務める加藤慶太副市長は「知恵を出してスピード感を持って取り組みたい」と述べた。
 私立高誘致を巡り、立地予定の小野地区の住民団体が誘致を求める請願を市議会に提出。市議会は27日の臨時会で同請願を審査する特別委員会を設置した。
 渥美市長は「タイケン学園の誘致は創造的復興につながる。実現に向けて進めていきたい」と話す。
 計画では、鳴瀬未来中の旧校舎と移転予定の鳴瀬桜華小の現校舎を校舎や生徒寮として利活用する。タイケン学園は9月末までに県に認可申請する見通し。
⇒2018年9月28日に河北新報が以下記事配信
「東京の学校法人、東松島で全寮制高 設置計画書を宮城県に提出」
宮城県東松島市で全日制私立高の開学を目指す学校法人タイケン学園(東京)は28日、学校設置に関する計画書を県に提出した。県は県私立学校審議会の専門部会に諮り、審議会の答申を経て認可の可否を判断する。
 学校名は「日本ウェルネス宮城高」。鳴瀬未来中の旧校舎を改修して2020年4月の開校を目指す。3学年で定員360人の全寮制で、21年1月に移転新築する鳴瀬桜華小の現校舎を生徒寮として利活用する。
 防衛大や防衛医科大を目指す「進学コース」、五輪・パラリンピックに出場する選手を育成する「スポーツコース」、国際的に活躍する人材を育てる「グローバルコース」を設ける。
 同法人の担当者は「特色ある三つのコースをそろえた全寮制で、全国から生徒を集める。復興のモデルケースにしたい」と話した。
 渥美巌市長は「東日本大震災からの創造的復興を図る上でもありがたい。全寮制なので人口の面でも地方創生につながる。前に進めてほしい」と期待した。
 高校設置を巡っては7月、小野地域まちづくり協議会が誘致促進を求める請願書を市議会に提出し、9月に採択された。市議会も誘致実現を目指す決議案を可決した。

※上記の請願書は全会一致で採択。

⇒2018年10月3日読売新聞が以下記事配信
「空き校舎に私立高計画…東松島
東松島市の使われなくなった中学校旧校舎に、2020年度を目標に私立の全日制高校「日本ウェルネス宮城高(仮称)」を開校する計画が進んでいる。市内で今年4月に私立保育園を開設した学校法人「タイケン学園」(東京都板橋区)が9月末、県に学校設置の計画書を提出した。誘致を目指していた市は、定住人口の拡大や東日本大震災の復興にもつながるとして期待している。

定住者の拡大期待
 同法人は、各地で大学や専門学校、高校などを運営し、スポーツ選手や幼児教育などの人材育成に力を入れている。計画では、宮城高には、航空自衛隊松島基地が立地することから防衛大や防衛医科大の受験を目指す「進学コース」のほか、世界で活躍できる選手や人材の育成を目指す「スポーツコース」「グローバルコース」の3コースを設置。定員は各学年120人(各コース40人)の男女共学で、いずれも全国から生徒を募集する。

 使用する校舎は、市立鳴瀬未来中の旧校舎(鉄筋コンクリート3階建て、1971年完成)。同中は13年に統合により誕生し、昨年12月に新校舎に移転したため、現在旧校舎は使われていない。また、21年1月に移転新築する市立鳴瀬桜華小の現校舎(同、69年完成)を生徒寮として活用する。

 同法人の柴岡三千夫理事長らが9月28日に県庁を訪れ、学校設置の計画書を提出した。県私学・公益法人課によると、計画書が県私立学校審議会の部会で了承されれば、同法人は改めて学校開設の申請書を提出して同審議会にはかられる。県内には私立高校が19校(通信制を含む)あり、全日制高校が認可されれば、1990年の西山学院高(七ヶ宿町)以来となる。柴岡理事長は読売新聞の取材に「県の指導に従い、開校に向けて準備を進めていく」と話した。

 市は昨年11月、同法人と福祉や子育てに関する連携協定を締結。今年1月には空き校舎を利活用する事業者を公募し、同法人が私立高の設置を提案した。市も庁内に誘致推進チームを作り、市議会も誘致の推進を求める決議を全会一致で可決している。市は同法人に校舎解体費相当額の4億5000万円を補助する方針で、校舎の改修費などに充てられる予定だ。

 渥美巌市長は「新たに高校が開設されれば、定住人口が増えて地域の活性化につながり、震災からの創造的復興の象徴となる。幅広く支援して実現させたい」と話している。

●留学生ビジネスの可能性
⇒2018/8/31に朝日新聞にて以下記事が掲載。
「留学生別科も学生急増 「大学付属の日本語学校」 進学困難者の受け皿に」
日本語学校」で学ぶ留学生が急増するなか、大学の「留学生別科」に通う学生も増えている。2017年度は5千人を超え、5年間で2・4倍に増えた。語学力が一定の水準に満たず、進学先が見つからない留学生の受け皿となる一方、教育の質を担保する基準はない。法務省日本語学校の設置基準を強化する方針だが、専門家はこうした別科に「出稼ぎ留学生」が集まることを懸念する。
留学生別科は、「大学付属の日本語学校」とも呼ばれている。学校教育法で位置づけられる大学が設置する1〜2年の課程で、大学進学を目指す留学生に日本語などの準備教育を行う。ただ、学生に対する教員の割合や授業時間などについて基準が決まっている日本語学校とは異なり、文部科学省への届け出のみで開設可能で、教員数や授業時間などを定める法令はない。
 
日本学生支援機構によると、17年5月1日現在で61私大が別科を設置。計5108人が学び、13年度と比べて2944人増えた。数十人規模の大学が多いが、日本ウェルネススポーツ大(茨城県利根町)の1275人、東京福祉大(群馬県伊勢崎市)の1062人が突出して多く、両大学で学生数の約46%を占める。
 
学生が増加する理由の一つに、大学関係者は「日本語学校の卒業生の変化」を指摘する。機構によると、日本語学校の学生は17年度に約7万8千人おり、ベトナム、ネパール、スリランカの出身者で半数近くを占める。こうした非漢字圏の学生は日本語に慣れるまで時間がかかり、日本語学校を卒業しても、大学や専門学校への進学が難しいケースが多いという。
 
日本語学校講師は「別科は、路頭に迷う寸前の卒業生にとって一縷(いちる)の望みの『クモの糸』のような存在」と話す。

■教育の質保証に課題も
東京・池袋駅から徒歩15分の5階建てのビルの3階に、東京福祉大の留学生日本語別科はある。別科長の八木裕子准教授は「本体が大学なのでしっかりしている。別科を通じ、大学や大学院に進んでもらえるとうれしい」と語る。
 
同大は04年に別科を設置した。当初は数人規模だったが、学生は年々増え、今ではベトナムや中国、ミャンマーなどから来た約1500人が学び、名古屋市群馬県伊勢崎市にも施設がある。学費は1年目は73万円、2年目は63万円という。
 
ベトナム人のグェン・ジ・ロンさん(20)は昨年5月に来日し、別科に入った。他のベトナム人2人とマンションをシェアして暮らし、週に3回、コンビニで夕方5時から深夜まで働く。「卒業後は自動車組み立て関連の専門学校で学びたい」と話す。
 
留学生は原則として、1週間に28時間以内しか働くことができない。しかし、アルバイトが中心になる学生もおり、大学は神経をとがらす。授業中に眠そうな学生を見つければ、本人と面談して「このままだと留学生のビザが更新できない」と指導もする。
 
茨城県利根町にある日本ウェルネススポーツ大は取材の申し込みに対して「授業内容は企業秘密なので、一切応じられない」と答えた。日本学生支援機構などによると、同大の別科の学生は5年間で約22倍に増え、昨年度は1275人と、母体である大学の学生(727人)より多い。
 
平日の昼過ぎ、東京都板橋区オフィスビルの一画にある大学の関連施設で授業を終えたスリランカ人の男子学生(26)は「朝ご飯も食べていない。すぐに、仕事に行かないと」と急いだ。来日して1年だが、「日本語はあまり分からない」。毎日、午前中は別科に通い、その後はレストランで働く。「将来のことは分からないが、車関係の仕事をしたい」と話した。
 
留学生施策に詳しい東京工業大の佐藤由利子准教授は「留学生の予備教育のため、別科は必要な制度。ただ、授業内容など教育の質を保証する仕組みがなければ、出稼ぎ目的の学生を受け入れる隠れみのと見られる恐れもあり、改善が必要だ」と指摘する。 (峯俊一平、平山亜理)