式日について

式日」(庵野秀明監督 岩井俊二藤谷文子主演)
http://shikijitsu.ube.ac/
3点(5点中)
エヴァンゲリオンで一躍有名になった庵野監督の実写第2作。
前作「ラブ&ポップ」に比べて庵野監督の独特な映像感覚は押さえ気味。
それでも変わっていると言えば変わっているのだが。
岩井俊二は「スワロウテイル」等で有名な監督。今回が初めての役者出演。

まず、面白いと思ったのは岩井演じる「カントク」=庵野であること。
監督業を生業とするもの同士で何か通じるものはあったのだろうなあ。

物語のテーマは「家族」「妄想から現実への復帰」かなあ。

いいなあと思ったところ
まず、藤谷演じる「彼女」の格好がいかにも庵野映画らしく、
ミステリアスな雰囲気を出していて良かった。
で、「彼女」の部屋の異常さも良かった。これは後にわかる
彼女の人生の経緯や心象の暗喩なのだが。
ナレーションも庵野映画らしいセリフ回しだった。
このセリフ回しが実写映画っぽくないという人がいるが、
それは了見の狭い見方だと思う。
まあ押井守の映画を見慣れている自分には
平気だというのもあるのかもしれないが。
「彼女の母親」役の大竹しのぶはやっぱ上手い。
なんというか、感情の表現がもう手馴れている。
撮影場所の山口県宇部市の映像がキレイだった。無機質な町と言われているのに。

悪かった所
淡白すぎる感じがした。「彼女」にまつわるエピソードにある背景がなく、
なんか薄っぺらい感じがしてしまった。
それに付随してるが、「カントク」の所在や視点がイマイチわからなかった。
「カントク」の「自分が作った作品はヒットしたが、飽きてしまった」
というのがどこに生かされていたのかよくわからなかった。

全体として、最初に庵野色は薄いと書いたけれども、
それでもやっぱり庵野映画なんだと感じた。
自分はつまらないと感じたわけでもないし、
映像や演出が好きだったので、ストーリはツライけど、3点です。