選挙活動とは?

 
 告示前の選挙活動は「選挙活動」と呼んではいけないらしい。これは公職選挙法に定められており、我々のしていることは「政治活動」と呼ばれ、あくまで政治団体として、例えば我々が「未来会」だったとしてその「未来会」がA氏を応援しているというなんだかややこしい話になってくる。これは選挙の候補者が全員同じスタートラインに立ってよーいドンしないと不公平が生じるかららしい。
 しかしそんなことはあるわけないわけで、そんなこと言ったら知名度が無い者は選挙に受からなくなってしまう。A氏も知名度はほとんどない。だからこういう規則は事実上ないものとなってしまう。こういうアホらしい制約は早くなくなってしまえばいいのだが。
 まあそんなことはどうでもいいとして本題に戻る。選挙活動の朝は早い。7時にはその日の朝、駅前に立って候補者と共にビラを撒くなりして活動しなければならない。私は始発の次の電車に乗っていつも通っていた。ビラを受け取る人はあまりいない。まあ昨今の投票率をみれば当たり前のことであまりの反応の悪さに最初はかなり鬱になった。そういう時に近くで消費者金融(プ○○スとか)がティッシュを配ったりして、それを通行人がバンバン受け取っていくのを見ると余計に虚しくなってくる。ちなみにじゃあ同じようにすればいいと言う考えも出るかもしれないが、それも禁止されてるのである。早い話、賄賂みたいな扱いになるからだ。
 そして9時過ぎに駅での活動を終え朝御飯となる。A氏は何故か朝御飯はキッチリ食べたいらしく、○ストやジョ○サンとかで御飯を食べていた。もちろん我々は払わない。ちょっとした役得かもしれない。その割にはキツイような気がするが。
そして事務所に戻って活動再開。日中はやることは大抵ニつ。
 一つはビラ巻きのための印刷。ちなみに量はやる時は五千枚とかバカみたいにやる。内容も結構学生にまかせていたのでビラの内容もたまに考えなければならなかった。
 もう一つはこれも厳密に言えば公職選挙法ギリギリなのだが、学生達で戸別訪問をしていた。これも候補者がやるとあきらかに捕まえられるわけで、学生でも結構怪しいのである。やり方は一軒一軒回って「A氏の事務所の学生ボランティアスタッフのものですけど、このたび市長選挙がありますのでよろしくお願いします。」というのである。ここにも実は深いレトリックがあるのである。まず「投票依頼」はしていないと言う点、そしてA氏がでるとは言っていない点である。もしこのニ点を言ってしまうと学生でもOUTである。ちなみに配っているビラも出馬とは書いていない。まあ実際は選挙告示直前は言っていたのだが。なお回る時に絶対に注意しなければいけないのがあった。それは○○党(ヒント:代々木)のポスターを貼っている家は気をつけろということである。思想差別ではなく事実であるから書くが、彼らはかなりしつこい「こんなことしていいの?」とか「お金もらってるんでしょ?」とかいろいろ言ってくる。お金をもらうのは政治団体からもらう分には合法であるがあまりつつかれても困るので結構嫌だった。
この党が推薦する候補の支援団体とはこの後も熾烈な戦いを繰り広げるのだがそれは後述する。
そして夜はまた駅前でビラ配りかまたまた印刷。そして一日の仕事が終わるのは大体九時から十時である。遅い時は終電の時もあった。睡眠時間は六だと多すぎで4時間半前後はザラだった。どうしてそんな無茶な選挙スケジュールだったのかというとひとえに「秘書が使えない人間だった。」につきる。あまりに進め方が非効率だったのだ。その日にやることは当日になってからわかることはザラで、酷い時は夜の7時に「これ5千枚刷って」とか駅でビラ配ってる時にビラがなくなり、コンビニでコピーしながら配ってるとか。
A氏の選挙は素人選挙もいいところだった(とはいっても自分が他の選挙を経験したわけではないが)。まあある意味一番学生に自由にやらせてくれた時でもあったのだが。そして選挙が近くなってくるとその自由度も下がってくるのだが。